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2011/04/19

やさしいパン屋

小さな天然酵母のパン屋さん。
「トイレ借りるよ」
おじさんが慌てて入って来て、さっさと店の奥に消え、
用を済ませると何も買わずに出て行った。
店のご主人はいたって平静で気にする様子もない。
なんてやさしいパン屋さん!
でも…
近くにコンビニもスーパーもある。
間口の狭いこのパン屋に客用のトイレがあるようには見えない。
私は堪えきれなくなって、言った。
「なぜあの人はわざわざこの店を選んだんだろ」
「?」の後、ご主人が笑いながら、
「あの人は粉の業者さんです」。
その言葉の直後に粉の袋をしょって、「あの人」が入って来た。

110419

天然素材パン工房 リトル・トリー
その材料選びには圧倒的な安心感があった。
妊娠中は一山越えてウォーキングがてら買いにいき、
家に帰ってうっかり馬鹿食いの危険な店。
1歳のお誕生会。大人たちがケーキをパクつく隣りで、まだ砂糖の味を知らなかった小春はここのパンを嬉しそうにかじっていた。
本当にお世話になった。

だけど、4月いっぱいで閉店する。
原発事故から色々悩まれた末に出した答え。
もう私たちの暮らしは今までと同じではない。

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コメント

カヨさんの「もう私たちの暮らしは今までと同じではない。」を
今日なんども繰り返して思っておりました。わかってたつもりだけど。やっぱり重い。

わたしは数年前まで天然酵母パンのパン屋をしていました。最初店を開いたのはチェルノブイリ原発事故の翌年のこと。滋賀の小さな田舎町でした。借りていた古い家には井戸があり、それはおいしい水でした。残念ながら井戸水をパン焼きに使うのは保健所の許可がおりず、専ら自家用でしたが、満足して使っていました。ところが年々近くの国道沿いに工場が建ち その影響で水がだめになって 自分ちでさえ飲めなくなりました。
そのことがきっかけでいろいろ考え、信州の山の中に転居することに。それから十数年間 家の事情で店を閉めるまで信州では佳い環境でパンが焼けましたが。

だから、今回の 
リトル・トリーさんの(おそらく、ものすごい苦渋の)決断を少しはわかる気持ちがするだけに、胸がつまる思いです。
希望のもてる道がひらけますように、と心から願います。(長くなってごめんなさい)

投稿: baku | 2011/04/19 20:05

うっ・・・。

胸の詰まる思いとはこの事
想像するだけでもこんな気持ちになるのに
ご本人様にはどんなにかお辛いでしょう。。。

皆にどうか、どうか、幸せなときが
訪れます様に。。。

投稿: myapero | 2011/04/20 01:57

あざみ野周辺でもこの話題でもちきりでした。
感度が高い人ほど、動きは早いです。
わたしはいまだに動けません……。

投稿: tecology | 2011/04/20 13:13

bakuさん
自然の恵みそのものをパンにする、天然酵母のパン屋さん。
だからこそ今回の決断だったのかなぁとも思いました。
家族も信念も守るために。

myaperoさん
私もそう思います。
そして希望を持ちたいです。

tecologyさん
私は考えが堂々巡りです。
何も動けません。

投稿: カヨ | 2011/04/20 14:37

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